新鮮さ と 追熟
2025/12/20
おはようございます。またまた早く目が覚めました。現在午前3時です。1か月前に久しぶりの投稿をしてから、お馴染みの方々や青山マルシェでお会いした方々が読んでくださっているようです。ありがとうございます。
今月も残すところ、あと10日余りになり、採集、果皮の乾燥予措、運び込み、選果、木箱への移し替え、貯蔵庫の棚への差し入れなど、作業に追われております。採収は天気がよければ、来週には一応完了できそうです。一応、と言いましたが、若い樹(7,8年生まで)の果実は採収せずに残してあります。糖度も高めになってきて、若木特有の大きな果実も多いのですが、古樹と違って、まだ少し果皮が幾分厚いように感じますので、成木の収穫が完了した後に混ざらないように取り入れて、大手の取引先にジュース用として引き取ってもらうことになります。デビューするまではもう少し待たねばなりません。
昨日、仲買関係の方が農園まで来てくれました。聞きますと、今週からポンカンを販売するところが出てきた、と。 む?む?むっ! 地域や農地、系統などによって差はあるのでしょうが、またしても、旬を無視した販売競争が始まっているようです。果物は出始めに高値で取り引きされることが多いのですが、無理をして早く出荷しては果物本来の味が伝わりません。食べていただく消費者の方々は言うに及ばず、生産者にもプラスにはならないと考えています。過去を振り返れば、こぞってポンカンを植えて大生産地となった県が評価下落(=価格下落)の煽りを食って撤退し、他の品種に切り換えた例もあります。栽培に適した気温の不足もあったのでしょうが、施設、設備投資の問題もあり、当事者の方々が味わうことになった苦労を思うばかりです。
当地では、近年、他業種からの若い世代がポンカン園を引き継ぐ動きが出てきて、貯蔵庫を建てたり、機械類をそろえてゆく姿を見ていると、頼もしく感じます。しかし、中には、準備不足のままポンカンに手を出し、この時期になって、採集用コンテナを貸せ、を言ってくる強者もいるとのこと。これから先の追熟にまつわる作業や必要な設備で苦労することが心配されます。ポンカンの本来の味を伝えてくれるようになることを願うばかりです。
さて、生産者側の話ばかりをしてしまいましたが、お客さま(消費者)側の話をさせていただきましょう。昨シーズンは開園以来の不作で、『食べチョク』での販売も断続的かつ短期間のものとなりました。商品も、キズ有りのみ。農薬を使わないので多少のキズを当然のことだとしてご承知くださっていることに感謝する次第です。お客さまにはしっかりと味の出た果実をお届けしたつもりですが、コメントが返ってきました。「少し柔らかくて、新鮮さがなくて、残念です。」との趣旨でしたが、そのコメントを読んで、つい腕組みをしてしまい、添付された写真を見て、さらに「うーん」と唸ってしまいました。「この隔たりをどうすればいいのかしらん。」 果皮は光を反射してツヤの良さが映っています。お客さまの指摘は、やわらかさと新鮮さ、です。私たちがこだわっている採収後の予措と追熟は、果皮の水分を減じて果肉の質を維持し、甘さを出し、適度の酸を維持することです。その結果として、果皮はしんなりとした張りができて光沢が出てきます。湿度の調整役も木箱が果たしてくれるので、多くの労力をかけてコンテナから敢えて移し替えて貯蔵するのはその為なのです。収穫したばかりのポンカンは果皮は固く、味もイマイチ、常温で保存すると果肉が水分を失いやすいのですが・・・。
さて、問題は、「新鮮さと追熟」に象徴される消費者の方々と生産者の私たちの間にあるこの大きな乖離を解決しなくてはならないことですが、いったいどれだけ多くの方が一連の作業をご存じなのだろうか? 例えば、ポンカンだけでなく、不知火(デコポン)や文旦などには追熟が必要であることをご存じの消費者は全体の何パーセントいらっしゃるのだろう? 生産者にとっては当然なことでも、消費者にとっては初耳である、ということはいくらでもあって、それは当たり前のことのはず。私たち生産者がするべきことは、安全でおいしい果物をお届けすることと正直に接することによって、誤解や悪循環を断ち切ることだと考えます。都市生活者と田園生活者(何やら某氏の小説名のようですが)、消費者と生産者が”分断”されないように努力してゆこうと思います。かなり強引な文末になりましたが、そろそろ動き出しの時間ですので、続きはまた近いうちに。
今月も残すところ、あと10日余りになり、採集、果皮の乾燥予措、運び込み、選果、木箱への移し替え、貯蔵庫の棚への差し入れなど、作業に追われております。採収は天気がよければ、来週には一応完了できそうです。一応、と言いましたが、若い樹(7,8年生まで)の果実は採収せずに残してあります。糖度も高めになってきて、若木特有の大きな果実も多いのですが、古樹と違って、まだ少し果皮が幾分厚いように感じますので、成木の収穫が完了した後に混ざらないように取り入れて、大手の取引先にジュース用として引き取ってもらうことになります。デビューするまではもう少し待たねばなりません。
昨日、仲買関係の方が農園まで来てくれました。聞きますと、今週からポンカンを販売するところが出てきた、と。 む?む?むっ! 地域や農地、系統などによって差はあるのでしょうが、またしても、旬を無視した販売競争が始まっているようです。果物は出始めに高値で取り引きされることが多いのですが、無理をして早く出荷しては果物本来の味が伝わりません。食べていただく消費者の方々は言うに及ばず、生産者にもプラスにはならないと考えています。過去を振り返れば、こぞってポンカンを植えて大生産地となった県が評価下落(=価格下落)の煽りを食って撤退し、他の品種に切り換えた例もあります。栽培に適した気温の不足もあったのでしょうが、施設、設備投資の問題もあり、当事者の方々が味わうことになった苦労を思うばかりです。
当地では、近年、他業種からの若い世代がポンカン園を引き継ぐ動きが出てきて、貯蔵庫を建てたり、機械類をそろえてゆく姿を見ていると、頼もしく感じます。しかし、中には、準備不足のままポンカンに手を出し、この時期になって、採集用コンテナを貸せ、を言ってくる強者もいるとのこと。これから先の追熟にまつわる作業や必要な設備で苦労することが心配されます。ポンカンの本来の味を伝えてくれるようになることを願うばかりです。
さて、生産者側の話ばかりをしてしまいましたが、お客さま(消費者)側の話をさせていただきましょう。昨シーズンは開園以来の不作で、『食べチョク』での販売も断続的かつ短期間のものとなりました。商品も、キズ有りのみ。農薬を使わないので多少のキズを当然のことだとしてご承知くださっていることに感謝する次第です。お客さまにはしっかりと味の出た果実をお届けしたつもりですが、コメントが返ってきました。「少し柔らかくて、新鮮さがなくて、残念です。」との趣旨でしたが、そのコメントを読んで、つい腕組みをしてしまい、添付された写真を見て、さらに「うーん」と唸ってしまいました。「この隔たりをどうすればいいのかしらん。」 果皮は光を反射してツヤの良さが映っています。お客さまの指摘は、やわらかさと新鮮さ、です。私たちがこだわっている採収後の予措と追熟は、果皮の水分を減じて果肉の質を維持し、甘さを出し、適度の酸を維持することです。その結果として、果皮はしんなりとした張りができて光沢が出てきます。湿度の調整役も木箱が果たしてくれるので、多くの労力をかけてコンテナから敢えて移し替えて貯蔵するのはその為なのです。収穫したばかりのポンカンは果皮は固く、味もイマイチ、常温で保存すると果肉が水分を失いやすいのですが・・・。
さて、問題は、「新鮮さと追熟」に象徴される消費者の方々と生産者の私たちの間にあるこの大きな乖離を解決しなくてはならないことですが、いったいどれだけ多くの方が一連の作業をご存じなのだろうか? 例えば、ポンカンだけでなく、不知火(デコポン)や文旦などには追熟が必要であることをご存じの消費者は全体の何パーセントいらっしゃるのだろう? 生産者にとっては当然なことでも、消費者にとっては初耳である、ということはいくらでもあって、それは当たり前のことのはず。私たち生産者がするべきことは、安全でおいしい果物をお届けすることと正直に接することによって、誤解や悪循環を断ち切ることだと考えます。都市生活者と田園生活者(何やら某氏の小説名のようですが)、消費者と生産者が”分断”されないように努力してゆこうと思います。かなり強引な文末になりましたが、そろそろ動き出しの時間ですので、続きはまた近いうちに。