夕暮れの田んぼで出逢う、極上の「ととのい」時間。自然栽培のお米が教えてくれる
2026/07/30
夕暮れ時、やわらかな風が汗ばんだ頬をそっと撫でていきます。

鳥のさえずりと、吹き抜ける風の音だけが響く夕方5時の田んぼ。昼間の強烈な日差し(時には38度を超す猛暑です!)が少しずつ穏やかな茜色へと変わり、一日の終わりを優しく告げてくれます。

私の田んぼの周りでは、減反政策の影響もあり、隣の区画では大豆がスクスクと育っています。

大切に育てる稲のために、田んぼからの水漏れを防ぐ「アゼナミ」を設置しているのですが、このアゼナミのすぐそばだけは草刈り機を使うことができません。

だからこそ、私は手に鎌を持ち、一本一本、心を込めて手作業で草を刈り取っていきます。

効率の先にある、贅沢な「マインドフルネス」

一見すると、ただの地道な農作業かもしれません。

効率だけを求めれば、現代の農業においては決して簡単な道ではない「自然栽培」。肥料や化学農薬に頼らず、ただひたすらに自然の生命力を信じ、必要な手間を一つひとつ丁寧に積み重ねていきます。

けれど、私にとってこの時間は、自然と深く対話し、自分自身の心を美しく整える何よりの贅沢(マインドフルネス)でもあります。

カチカチと時計の針に追われる日常から離れ、五感を研ぎ澄ます。

鎌を動かす手に集中し、ふと目を上げれば、一日一日と逞しく成長していく稲の姿。

その力強い命の輝きを目にするだけで、不思議と胸の奥から静かな安心感が広がっていくのです。

気づけば時刻は夜の7時前。

昼間の喧騒が嘘のように静まりかえった夕暮れの田んぼには、大人の知性を満たす、深みのある静寂が広がっています。

手をかけた分だけ、応えてくれる命がある

時間をかけるからこそ、見えてくる美しさがあります。

手をかけるからこそ、わずかな田んぼの変化や稲の「声」に気づくことができます。

「今日も元気に育ってくれて、ありがとう」

愛おしい稲たちにそっと感謝を伝えながら、今年も無事に実りの秋を迎えられることを静かに願う夕暮れ時。

本物を選び、丁寧に生きるということ。

自然の恵みと人の手が生み出す一粒のお米には、そんな豊かなストーリーが詰まっています。

今日も自然の循環のなかで生かされていることに、心からの感謝を込めて。

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