ブドウの袋がけ、病気・害虫・日焼けから守る大切な仕事
2025/08/02
お世話になります、島根県邑南町(おおなんちょう)の寺本果樹園の寺本直人です🧑‍🌾ありがとうございます!最近ほんとに暑いですね。全国的に「水が足りない」って声をよく聞きますが、ここ邑南町も同じです。最後に雨が降ったのは7月14日ごろ。もう2週間以上カラカラです。うちは井戸があるのでなんとかなってますが、近所では困ってる方も多くて…。今日も、米を作ってるおじさんが「川の水を引くかどうかで話し合いになった」って言ってました。でも水利権の問題もあるし、簡単じゃないみたいです。ほんと、そろそろ雨が恋しいです☔



さて、今日は「ブドウの袋がけ、病気・害虫・日焼けから守る大切な仕事」についてお話しさせてください。

🍇【ご予約状況について】

寺本果樹園では、9/10〜お届けのシャインマスカットのご予約を承っています!
今年は【時期指定・数量限定・先着順】でご予約受付中です。

現在のご予約状況
・9/10お届け:完売御礼
・9/11お届け:残り6件
・9/12お届け:残り8件

・9/13〜9/20お届け:coming soon

今年は【時期指定・数量限定・先着順】でご予約受付中です。


【ブドウの袋がけ、病気・害虫・日焼けから守る大切な仕事】
現在、寺本果樹園ではシャインマスカットを栽培しております。7月31日時点で作業全体の8割ほどが終了。ようやく終わりが見えてきました。

そんな中、ブドウ栽培においてとても大切な工程のひとつ、「袋がけ」について詳しく書いてみようと思います。
聞いたことある方も多いかもしれませんね。梨とか桃なんかでもよく行われている、あれです。


【袋がけってどんな作業?】
読んで字のごとく、果実に袋をかける作業です。
やり方自体はそこまで難しくありません。袋がけ用の袋の口を開いて、下からブドウの房を袋の中へ。袋の真ん中あたりに果実が来るように調整して、口をギュッと縛って、針金でとめる。

…とまあ、書いてしまえば簡単そうに聞こえるんですが、うちには6000房あります。

1房3秒でも5時間かかります(実際はもっとかかります)。このへん、地味に骨が折れます。

袋がけをする意味ですが、寺本果樹園では主に3つの意味で袋がけをしてるかなぁと思います。主に

①病気対策
②害虫対策
③日焼け対策

です。1つずつ見ていきましょう👉


【病気対策(晩腐病)】
袋がけをする理由、その①は病気対策。

中でも一番恐れているのが「晩腐病(ばんぷびょう)」というやつです。
6月に菌が果実に入り込み、発症するのは8月。遅れてやってくるから“晩”腐病。
忘れたころにやってきて、果実をボロボロにしていきます。

過去には島根県で畑の8割が被害を受けたという話も😱

うちでも数年前、シャインマスカットの半分が腐った年がありました。
「もうやってられん…」と思ったこともありましたが、なんとか踏ん張ってここまで来ました。

この病気、特に雨が直接当たると発症しやすいのが特徴です。

だから袋がけ。
袋が“雨除けの傘”の役割を果たしてくれることで、病気のリスクをグッと下げることができます。


【害虫対策(カメムシ・スリップス)】
続いてその②は害虫対策。

『スリップス(またはアザミウマ)』という虫を聞いたことがあるでしょうか?知ってる方は間違いなく農家です👩‍🌾🧑‍🌾

このスリップスは目に見えないほど小さな虫で、実や茎などの汁を吸う害虫です。
スリップスにやられたシャインマスカットは、ガサガサの見た目になってしまい商品価値をなくしてしまいます。

幸い、うちの果樹園ではスリップスの被害は今のところ出ていません。(このまま出ないでいてほしい…🙏)

そしてもう一匹、リアルに現れて困っているのがカメムシです。

このカメムシ、果実に細い針を刺して汁を吸います。
すると果実の内部から液が漏れ出し、カビが生えたり、実が腐ったり…。
一粒やられると、その粒は育ちが悪くなるような感覚もあります。

袋がけは、こうした吸汁系の害虫からブドウを守る『物理バリア』の役割を果たします。(まれに袋の上からでも刺してくるカメムシがいます😈そうなったらお手上げ🤷)


【日焼け対策】
袋がけの理由、その③が日焼け対策。

ここ数年、夏の暑さが本当に厳しくなってきています。太陽の力が年々強くなっている気がします。

実際、ブドウも日焼けします。
・軽ければ黄色っぽく変色
・進行するとオレンジ色に
・最悪レーズンの一歩手前まで…

もちろん、黄色くなることで糖度が上がるという面もありますが、シャインマスカットの魅力はあの“マスカットグリーン”。
やっぱり、焼けてしまうと見た目の印象が違ってしまいます。

そのため、袋の色も使い分けが必要になります。

寺本果樹園で使っている袋の種類は以下の通りで、

透明袋:日焼けには弱いけど、中が透けて見えるのがメリット
黄緑袋:ある程度光をカット。バランス型
青竹袋:がっつり遮光。日焼け防止には一番。ただし熟すのは遅くなる

です。色々と使ってますが、使い分けの例としては、

透明袋:葉の影になっていて光が少ないところ
黄緑袋:適度に光が差す中間あたり
青竹袋:畑の端っこなど直射がガンガン当たる場所

として使い分けてます!

実際、全体の8割くらいは透明袋を使用しています。理由はひとつ、病気チェックがしやすいからです。

病気対策でもお話ししましたが、寺本果樹園は晩腐病をとても気にかけてます。透明袋だと晩腐病は袋の上からもある程度確認できるため、わざわざ開けて閉じて…という手間を省けるのは本当に大きいです。

透明袋は日焼けには弱いですが、上に白い“傘”をかけて光を遮ることで対策しています。袋+傘、二段構えで守っていくわけです☂️


【まとめ】

袋がけは、ただ袋をかけるだけの作業ではありません。
•病気(晩腐病)を防ぎ
•害虫(スリップス・カメムシ)を防ぎ
•日焼けを防ぎつつ、袋の種類も使い分けて成熟度を調整する

6000房すべてに対して、気温・湿度・日照・風通し・虫の有無などを観察しながら袋を選び、かけていきます。

1房ずつ、コツコツと。ときどき腰を伸ばしながら。
見た目には地味な作業ですが、ブドウの質を左右する重要な工程です。

この袋ひとつが、ブドウの未来を守ってくれる。
そう思いながら、今日も袋をかけています。


というわけで、「ブドウの袋がけ、病気・害虫・日焼けから守る大切な仕事」というお話しでした!

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ここからは関係のない『僕の雑談・感想』です。

袋がけって、やり方自体はすごくシンプルなんです。袋に房を入れて、ギュッと縛って、針金でとめる。
ただそれだけ。小学生でもできる作業だと思います。

でも実際には、時間・体力・根性だけじゃどうにもならない部分があるんですよね💦
むしろ、「そこに頭を使わないといけない作業」だなと、最近よく思います。

例えば、袋がけの直前には必ず房への最後の農薬散布を行います。
これをやらないと、袋の中で病気や虫が暴れ放題になって、せっかくのブドウが台無しに…。

だから農薬をまいてから3日以内に袋がけを終わらせる必要があるんです。

この“3日ルール”がなかなか厄介で、雨が降ればアウト☔途中で濡れればもう一回やり直し。

つまり、『農薬→晴れ続き→袋がけ完了』っていう、この黄金リレーを成立させないといけない。

うちも昔、これで失敗してます。
「天気ヤバそうだけど、作業が詰まってるから強行しよう…」って袋かけをした結果、
園の半分が晩腐病で腐り落ちました…😇

それ以来、天気予報の“降水確率20%”でも、もうソワソワが止まらないんです。
「今日やる?明日にする?でも晴れ続きの保証はないぞ?いや、でも濡れたら意味ないし…」って、毎回葛藤しながら空を見上げています。

あと意外と見落とされがちなのが、袋の“しめ方”の精度。

早くやろうとすると、どうしても雑になりがちで。
袋の口がゆるんでたら、そこからカメムシやスリップスが入ってきて、
結局中で大暴れされて終わり。
「袋かけた意味、ゼロじゃん…」ってなるわけです🙃

だから今は、スピードより精度を優先。

こうやって改めて振り返ってみると、たったひとこと「袋がけ」って言っても、
•農薬のタイミング
•雨の予測
•作業スケジュールとの調整
•袋の種類選び
•精度とスピードのバランス
ぜんぶ含めての「袋がけ」なんだなぁと🤔

これ、ちょっと面白くないですか?

ただの袋がけでも、ここまで奥深くて、頭と体と経験を使う作業になる。
こういう瞬間があるから、僕は農業が好きだなあって思います🧑‍🌾🌱


というわけで、『単純作業の奥深さ』という僕の感想でした!
夏真っ盛りですが、みなさんご自愛ください。

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この投稿をした生産者

島根県 邑智郡邑南町中野小原迫900

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