トマト農家さんに聞いた!<トマトからみた地球> 気候変動や環境変化でトマトの旬が変わる!?

2025/06/17 更新

食べチョクでは、2024年9月に鹿児島~北海道までトマトを生産する農家さん44軒に生育環境についてアンケートを実施しました。
栽培方法については8割方がハウス。浮き彫りになったのは、やはり気温上昇や異常気象による大きな影響でした。
中には「温暖化によりいずれトマトの生産ができなくなる」と大きな危機感を感じる農家さんもいらっしゃるほど。

トマト生産をめぐる現場で何が起きていて、どのような対策を講じているのか。農家さんの「いま」をまとめました。

トマトと気候変動の今

高温による着果率の低下や果実の品質の悪化

近年の猛暑は私たちの日常生活に大きな影響を及ぼしています。
それは農家さんも同様で、高温や強い日差しはトマトの生育に大きな弊害を生んでいます。

たとえば着果率の低下。通常は花が咲き、実がトマトへと成長するのですが、
花の段階で落ちてしまったり(花落ち)、実がならなかったりという異常事態が起きているそうです。

また、実がなっても色づきや味ののりが悪かったりと出荷に至らない実も増えています。
このままでは、トマトの出荷が全くない時期も出てきてしまうのではという危惧を抱いているの農家さんもおりました。

収穫時期の変化や収量の低下

トマトの旬は通常、初夏から夏の間で、5月下旬~8月が出荷量のピーク。
しかし近年、5~8月期の高温が影響し収穫時期が早まったり、後ろ倒しになったりと、気候に左右され安定しないのが現状です。

収穫量に関しても、暑さによる裂果(実が割れてしまうこと)や
グリーンバック(実の上が緑のままになること)、過熟が早くぶよぶよになったりと商品としての基準を満たせず、時期によっては収穫量が減ってしまっています。

これは生産者である農家さんにも大打撃ですが、消費者である私たちの食卓にも大きな波紋を広げていくのではないでしょうか。

暑さだけではない異常気象の影響

高温による数々の影響もさることながら、トマトの現場を襲う異常気象は他にもあります。

たとえば、季節外れの長雨による日照時間の低下は生育を遅らせてしまいますし、
梅雨の時期に雨が少なかった北海道でも降雨量は増え、栽培方法の見直しも必要になってきているそうです。

さらに各地で頻発するゲリラ豪雨台風は、ハウスや農地そのものを破壊しかねない恐ろしい状況です。

自然と共存しつつ、持続的に農作物を作り続けるためにはこういった問題のひとつひとつと向き合っていかねばなりません。

トマトを守る農家さん

日差しや高温からトマトを守るために

今回アンケートを実施した農家さん44軒のうち38軒はハウスでの栽培です。
室内はやはり高温になるため、様々な対策を講じています。

遮光剤や遮熱剤の噴霧、遮光カーテンの使用、ミスト散布、
換気システムのアップデートなど試行錯誤を繰り返し、トマトの生育環境を守っていました。

また、土壌においても暑さに強い根を育成するためのサプリを灌注したり、
中にはバイオスティミュラントという新しい概念の農業資材(植物や土壌により良い生理状態をもたらす様々な物質や微生物)
を用いて対策を講じている農家さんもいました。

品種変更や定植時期の調整など農家さんの挑戦

根本的な対策として暑さに強く、生産性の高い品種に変更する農家さんもいました。

具体的には「千果」や「桃太郎」シリーズなど高温でも着果が安定し、玉が硬いため裂果も少ない品種。
もちろん味も折り紙付き。「千果」も「桃太郎」も糖度が高くうま味が豊富で、ほどよい酸味がバランスを保ちます。

今の日本の気候にあった品種を試すのも、今後トマトを安定的に作り続けていく上で大きな対策のひとつです。

また、定植時期に関しても、前倒しして夏の暑い時期に樹を成長させ、収穫のピークを9月に持っていく農家さんや
あえて初夏前にピークを持っていく農家さんなど、各々が試行錯誤を繰り返し、私たちの食卓にトマトを届けてくれています。

まず「人」ありき

ここまでトマトの生育に関する農家さんの現状と奮闘をお伝えしておりましたが、猛暑は当然ながら生産する「」にも影響を及ぼしています。

ハウス内高温のため、早朝と夕方しか作業できないといった声や「正直、自分がいつ倒れてもおかしくない」といった不安の声も聞かれました。
あるいは、そもそもの人手不足で収穫時の人員が確保できず、せっかく実ができても出荷が遅れてしまうなどの事象も起きています。

様々な策を講じて、あるいは愛を注いでトマトを育てるのは、間違いなく「人」。
大前提として生産者さん自身の身を守ることが、トマトを守ることにつながることをこのアンケートを通じて再確認しました。

いま一度トマトと向き合って

地球のために、トマトのためにできること

気候変動や環境変化に多大な影響を受けている農家さんですが、
今回のアンケートで流通に関して「変化した点」について多かった解答は地球環境への配慮でした。

プラスティックパッケージをやめて、バイオマス素材配合のものにしたり、
包装そのものを簡易的なものに変えたりしていました。
そして、輸送時のつぶれを防ぐための緩衝材や梱包の工夫、出荷できない実はジュースなどに加工して販売するなど
余すことなく使用して、ロス(廃棄)を出さないことも大きな意義があります。

気候の弊害はあるものの、これからも自然と共生し、持続的にトマトを生産するための配慮も欠かせません。

これからも美味しいトマトとともに

夏の旬を彩る瑞々しいトマトが、太陽の季節から姿を消してしまうかもしれない。
お弁当に欠かせないミニトマトが、高級品になっているかもしれない。
今後さらに温暖化が進めば、このような事態も起きかねません。

たまーに、ふと、トマトの背景にこんなストーリーがあることに
思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。

そして、今あるトマトを無駄にせず美味しくいただくことが
私たちができる最善の対策だと思っています。

さて、今日はどのようにトマトを召し上がりますか。

最新のトマトの特集記事

※販売終了しました※ プチッと弾ける!濃厚トマトを3回お届け「トマト食べ比べ便」

※販売終了しました※ プチッと弾ける!濃厚トマトを3回お届け「トマト食べ比べ便」

※こちらの商品は2025年10月31日(金)、販売終了しました※食べチョク厳選!甘く弾ける3種のトマトの食べ比べ便をご用意いたしました。バラエティ豊かなトマトを厳選!味わいの違いを楽しめる大満足の食べ比べ便です。ひとつひとつ大切に育てられたトマトを、産地から直送でお届けします。【目次】 旬の食べ比べ便ってどんなサービス? トマト食べ比べ便とは? お届けする3種類のトマト こんな方におすすめ! ※注意事項 旬の食べ比べ便ってどんなサービス?一度の注文で、3回に分けて異なる産地や時期ごとの...

2025/09/26 公開

甘み?酸味?次にくるトマトはこれだ!食べチョクが次のスター品種を大予想!

甘み?酸味?次にくるトマトはこれだ!食べチョクが次のスター品種を大予想!

トマト界は、次のスターを待っている!トマトの歴史は、アンデス山脈が原産とされ、16世紀にヨーロッパへ伝わった後、18世紀頃から食用化が進み多様な品種が育成されました。日本で本格的な栽培と品種改良は明治時代以降早くから行われ、トマトの大衆化が起きました。1970年代には、食味を重視した高糖度でバランスの良い「桃太郎」が登場し、トマト界の王様に。近年では、「アイコ」のようなユニークな形や食感を持つミニトマトや中玉トマトの注目度が増加!さらに、リコピンなどの成分を強化した品種の開発も進み、トマト...

2025/06/17 公開

【用途で選ぼう】最高のトマトとの出会い方教えます!

【用途で選ぼう】最高のトマトとの出会い方教えます!

日本では生で食べる機会が多いトマト。実はトマトには「そのまま食べるのに向いているトマト」と「加熱すると甘みが増すトマト」 の二種類があることを知っていましたか?とは言え、国内だけでも60種類以上あるトマトを見分けるのは至難の業です。そこでこの記事では、用途に合わせてトマトを選べるように、「生食用トマト」と「調理用トマト」を分けて説明します。生食用のトマト生でそのまま味わうトマトでも甘いもの、酸味があるもの、香りの強いものなど様々。「甘いトマト」、「コクの強い味わいのトマト」、「バランスの良...

2023/09/28 公開

トマトの特集記事をもっとみる

食べチョクおすすめ

トマトの選び方

詳しくはこちら

最新のおすすめ特集記事

寒さが育む、極上の甘み。冬を彩る群馬の「やよいひめ」と「下仁田ねぎ」

寒さが育む、極上の甘み。冬を彩る群馬の「やよいひめ」と「下仁田ねぎ」

寒さが深まり、贈り物にも食卓にも "冬の味わい" を求める季節群馬には、この時期こそ輝くふたつの旬があります。ひとつは、香り立つ甘さが魅力の群馬県産いちご。代表格の「やよいひめ」は、口に含んだ瞬間に広がる華やかな香りと、みずみずしさが特長です。寒暖差のある気候でじっくり育つため、糖度がのりやすく、ギフトとしても存在感があります。もうひとつは、冬の名脇役として欠かせない「下仁田ねぎ」。太く短い独特の姿は、この土地で受け継がれてきた伝統栽培の証。鍋に入れると外側はとろり、中はほっくりと甘みが増...

2025/12/12 公開

【群馬県×食べチョク】野菜のパウダーで広がる、新しい食の形

【群馬県×食べチョク】野菜のパウダーで広がる、新しい食の形

野菜を乾燥させて粉末にした「野菜パウダー」。普段の料理に気軽に取り入れられる上に、色もきれいで、混ぜるだけで栄養もプラスできる手軽さが魅力。群馬県では、この魅力をもっと知ってほしくて、県産小松菜、ビーツ、オリーブの葉をパウダーにして3種類の特別ギフトセット「GUNMA THANKS GIFT」を作りました。今回はこのパウダーを使って、シェフや栄養士のみなさんが考案したアレンジレシピをたっぷりご紹介します。商品はこちら群馬県が提案する”野菜パウダー"の新しい食べ方近年、“食”をめぐる価値観は...

2025/12/10 公開

【自然派スイーツ!】干し芋やスイートポテト…自然な甘さにほっこり♪

【自然派スイーツ!】干し芋やスイートポテト…自然な甘さにほっこり♪

自然の甘さがぎゅっと詰まったお子様から大人まで大人気の『干し芋』。実は干し方によって、特徴が異なることはご存じですか?今回は干し方の違いによる味や食感の違いを特集!さらに、農家さん自家製のさつまいもスイーツもご紹介します。ぜひ自分好みの干し芋を見つけてみてください♪適度な歯ごたえがクセになる【平干し】干し芋の定番「平干しタイプ」の特徴とは...食べやすい形薄くスライスされた形状なので1枚ずつ手で持ちやすい♪ちょっとしたおやつにもおすすめです!適度な歯ごたえやわらかすぎず適度な弾力があるので...

2025/12/05 公開

心もぽかぽか温まる「鍋」特集

心もぽかぽか温まる「鍋」特集

鍋のおいしい季節が到来!鍋を楽しむために欠かせない『野菜・魚・お肉』を集めました。野菜魚介類肉野菜ねぎ白菜にんじん玉ねぎきのこねぎ【ねぎ】を探す >白菜【白菜】を探す >にんじん【にんじん】を探す >玉ねぎ【玉ねぎ】を探す >きのこ【きのこ】を探す >魚介類牡蠣ホタテカニ魚牡蠣【加熱用むき身牡蠣】を探す >ホタテ【ホタテ】を探す >カニ【カニ】を探す >魚【魚】を探す >肉豚肉鶏肉鴨肉豚肉【豚肉】を探す >鶏肉【鶏肉】を探す &g...

2025/12/04 公開

【食べチョクまとまる便/ドットミィ】年末年始のお届け休止期間のお知らせ

【食べチョクまとまる便/ドットミィ】年末年始のお届け休止期間のお知らせ

お客さま各位平素より食べチョクをご利用いただきありがとうございます。年末年始の「ドットミィ・食べチョクまとまる便」のご利用につきまして、下記の通りご連絡申し上げます。▼お届け休止期間「ドットミィ・食べチョクまとまる便」では、下記の期間につきまして、誠に勝手ながらお届けをお休みいたします。・お届け休止期間: 2025年12月31日(水)〜2026年1月3日(土)▼お届け日の変更について上記期間にお届け予定のご注文につきましては、年末年始の休止に伴い、ご注文をパスさせていただきます。なお、ド...

2025/12/04 公開

すべての特集記事をみる

この記事をシェアする

サイトトップにもどる