十勝の大地から、新しい味覚。メムロピーナッツの“生落花生”物語

2025/12/10 更新

北海道・十勝で芽吹いた挑戦

「落花生」と聞いて、どんなイメージをお持ちでしょうか? 一般的に、おつまみや豆菓子として親しまれる乾燥ピーナッツを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、もし「収穫したてを塩ゆですると、まるで枝豆のようにホクホクで甘い」という、北海道・十勝ならではの特別な味わいの落花生があったとしたら?

北海道十勝地方の中央部に位置する町「芽室町」。
広大な大地で、この新しい味覚の可能性に挑むのが、メムロピーナッツ(通称メムピー)代表の藤井さんです。日本の食料基地とも呼ばれるこの地で、なぜ彼はこれまでほとんど栽培されてこなかった落花生に情熱を注ぐのか。その挑戦の物語をご紹介します。

メムロピーナッツさんの商品を見る

藤井さんは、代々続く農家に生まれながら、若い頃は農業を継ぐつもりはなく、会社勤めをしていました。
しかし最終的に実家の農業を継ぐことを決意。その後、地元の青年部が「十勝で新しい作物を広めよう」と取り組む姿に触れ、落花生と出会います。生姜や蒟蒻芋など、十勝ではまだ根付いていない品目の試験栽培が行われるなか、最終的に残ったのが「落花生」でした。北海道ではほとんど栽培されていなかったこの作物を地域に根付かせようと、藤井さんはメムロピーナッツを立ち上げました。

十勝からピーナッツを発信したい。この土地だからこそできる農業で、地域の新しい特産物をつくりたい。
藤井さんはそう語ります。農業を継ぐ決意の背景には、ただ作物をつくるだけでなく「地域を盛り上げる存在になりたい」という強い思いがありました。

▲メムロピーナッツ代表の藤井さん▲

大規模農業と“生落花生”の魅力

十勝の農業の大きな特徴のひとつが「輪作」です。じゃがいも→小麦→豆→ビートと、4〜5年のサイクルで作物を入れ替えて栽培することで、土壌を疲弊させず、病害を防ぎます。これは広大な畑を持つ大規模農業だからこそできる方法であり、藤井さんもその仕組みのなかで落花生を組み込み、新しい価値を生み出しています。
藤井さんの畑で育つ落花生は、私たちが普段目にする「乾燥ピーナッツ」とは異なります。一般的な乾燥ピーナッツは、収穫された落花生を乾燥させてから出荷されますが、藤井さんが提供するのは、収穫したての旬の時期にしか味わえない「生落花生」です。
生のまま収穫された落花生を塩ゆですると、口いっぱいに広がるのはホクホクとした食感と、豆本来の甘み。まるで枝豆のように手が止まらなくなる味わいに、「これが落花生なの!?」と驚く人も少なくありません。北海道ならではの寒暖差のある気候が、この甘さを一層引き出しています。まさにこの土地だからこそ味わえる旬のごちそうです。


▲実が付き始めた落花生。9月が出荷のピーク▲

地域を巻き込む力

藤井さんの挑戦は畑の中だけにとどまりません。毎年10月に仲間の農家や飲食店と協力して開催するのが、「芽室落花生祭り」です。来場者が畑に入り、自分の手で落花生を抜き取ったり、収穫体験をしたりできるユニークなイベントで、会場にはピーナッツを使った料理を提供するブースも並びます。
「農家ではない地元の人が畑に入る機会は少ない。だからこそ、楽しみながら落花生を知ってもらうきっかけをつくりたい。」
繁忙期にもかかわらず、実行委員として自ら企画・運営に携わる藤井さんの姿勢に、多くの人が心を動かされます。
さらに地元の飲食店とも連携し、ピーナッツを使ったスイーツやコース料理、スタンプラリーなどを実施。地域全体で「落花生文化」を育てようとする取り組みは、行政に頼らず自分たちで企画し実現する点でも大きな特徴です。農家同士が協力し合い、機械を共同購入するなど、大規模農業ならではのスケールと柔軟さを活かしながら、十勝全体を盛り上げています。


▲芽室落花生祭りは今年で4回目となる▲

藤井さんの思いとこれから

藤井さんの根底にあるのは、「農業を大変なものとしてではなく、楽しい・かっこいいものとして見てもらいたい」という想いです。そのために、落花生を通じて地域の人々に農業を身近に感じてもらえる機会を増やしたり、アパレルの展開で農業をライフスタイルとして表現したりと、さまざまな挑戦を続けています。
「十勝をピーナッツの産地としてもっと広めたい。まずは一度、生落花生を味わってもらえれば、その魅力は必ず伝わるはずです。」
そう語る藤井さんの眼差しはまっすぐとしたものでした。食べチョクへの出品を始めたのも、より多くの人に落花生を届けるための一歩。今後は加工品開発や新しい販路開拓にも挑戦し、十勝のピーナッツを全国に広げていきたいと考えています。

▲一面に広がる農地▲

十勝の新顔作物を、食卓へ

藤井さんの生落花生は、まだ全国でも限られた場所でしか手に入らない、まさに十勝が誇る旬の味覚です
。広大な大地での挑戦に情熱を傾ける藤井さんの想いとともに、この時期にしか味わえない特別な美味しさを、ぜひご家庭でお楽しみください。」

▲十勝の生落花生、なまら美味しいです!▲

メムロピーナッツさんの商品を見る

最新のおすすめ特集記事

魚の盛り付け向きを種類別に解説|焼き魚・切り身・刺身

魚の盛り付け向きを種類別に解説|焼き魚・切り身・刺身

魚を盛り付けるとき、「頭はどちら向きだっけ」と迷い、なんとなく置いてしまった経験はありませんか。実は「頭を左・腹を手前」には、日本の礼法や食べやすさに基づいたしっかりとした理由があります。この基本を一度理解してしまえば、焼き魚も煮魚も迷わず自信を持って盛り付けられます。さらにカレイのように頭が右を向く例外や、切り身・半身など形状ごとのルールも整理しておけば、どんな魚でも慌てずに対応できます。来客時やお祝いの席でも「恥ずかしくない一皿」を、根拠を持って実践できるようになりましょう。産直の鮮魚...

2026/05/01 公開

11月旬の魚の選び方|スーパー・産直で使える目利き術

11月旬の魚の選び方|スーパー・産直で使える目利き術

11月に旬を迎える魚は、サンマやサバだけではありません。水温が下がるこの時期、ブリ・カレイ・キンメダイなど、脂がのって旨みの増した魚が一斉に食べごろを迎えます。さらにズワイガニや牡蠣といった魚介類も旬の入り口を迎えるため、一年でもっとも食卓が豊かになる季節といえます。「売り場で何を選べばいいかわからない」「旬の魚の調理法が知りたい」——そんな悩みをお持ちの方に向けて、この記事では11月が旬の魚の種類と特徴、鮮度の見分け方から献立例まで、まとめてご紹介します。産直の鮮魚をチェック>11月が旬...

2026/05/01 公開

冷凍した魚の日持ちは何日?種類別の目安と保存法

冷凍した魚の日持ちは何日?種類別の目安と保存法

冷凍庫に入れた魚、「まだ食べられるのかな…」と迷ったことはありませんか?冷凍すれば長持ちするのは確かですが、「いつまでも安全」というわけではありません。家庭の冷凍庫では、切り身で2〜3週間、刺身なら1〜2週間が品質を保てる目安です。正しく保存しないと冷凍焼けや臭みが生じ、せっかくの魚がおいしく食べられなくなってしまいます。この記事では、魚の種類・状態ごとの保存期間の目安から、鮮度を守る冷凍・解凍の正しい方法、冷凍焼けの見分け方と対処法まで、食材を無駄なく使い切るための知識をまとめて解説しま...

2026/04/30 公開

魚のグリル焼き時間|種類・切り身・冷凍の目安

魚のグリル焼き時間|種類・切り身・冷凍の目安

「魚をグリルで何分焼けばいいか」が分からず、調理の手を止めて検索していませんか?生焼けのまま食卓に出してしまうか、焦がしすぎて台無しにしてしまうか——魚を焼くたびに感じるその不安は、焼き時間の目安と基本のコツを知るだけで一気に解消できます。切り身か姿焼きか、片面焼きか両面焼きか、冷凍か生鮮かによって最適な時間は変わります。この記事ではそれぞれのパターンを具体的な分数で解説するので、自分の状況に当てはめてすぐに使えます。予熱・火加減・焼き上がりの確認方法まで押さえれば、誰でも毎回失敗なく美味...

2026/04/30 公開

魚はどっちから焼く?失敗しない焼き順の理由を徹底解説

魚はどっちから焼く?失敗しない焼き順の理由を徹底解説

魚を焼こうとして「皮から?身から?」と迷い、気づけば手が止まってしまった経験はありませんか。「なんとなく焼いたら皮が剥がれた」「身が崩れた」といった失敗は、実はちょっとしたルールを知るだけで防げます。基本は「皮から先に焼く」ですが、干物の開きだけは例外で、身から先に焼くのが正解です。さらに、グリルとフライパンでは火の当たり方が異なるため、器具に合わせた対応も必要になります。この記事では、生魚・干物・姿焼きといった種類ごとの焼き順から、皮がくっつかないコツまでをまとめて解説します。一度読めば...

2026/04/30 公開

すべての特集記事をみる

この記事をシェアする

サイトトップにもどる