寺本果樹園の経営戦略の変遷。〜①とにかく出荷→②直売スタイルチェンジ〜
2026/04/14
お世話になります、島根県邑南町(おおなんちょう)の寺本果樹園の寺本直人です🧑‍🌾いつもありがとうございます!
太陽の日差しが一段と強くなったように感じます🥵標準装備を半袖に変更して、毎日汗だくで戦っております。


さて、今日は「寺本果樹園の経営戦略の変遷。〜①とにかく出荷→②直売スタイルチェンジ〜」についてお話しさせてください。

『経営のリアルなお話』です。


【お知らせ】
2025年産寺本果樹園のイチゴ、たくさんのご予約・ご購入本当にありがとうございました🍓暖かくなり配送事故のリスクが高まるため、オンラインでの全国発送はひとまず区切りとさせていただいております。

地元での直売は5月いっぱいまで続けます!


【寺本果樹園の変遷の概要】
気づけば僕が農家になってから10年が経ちました。姉ちゃんは12年目です。
ありきたりな言葉ですが、長いようであっという間の10年間でした。

ふと思い返せばこの10年間、色々なことがありました。壁にぶち当たり、絶望し、もがき苦しみながら、生き残るために少しずつ「戦い方」を変えてきました。

今日はそんな寺本果樹園の『むかしばなし』をさせていただけたらと思います😆


寺本果樹園のこれまでの歩みと、これからの現在地は、大きく以下の4つのフェーズに分けられます。

① 2015〜2022年:とにかく作って出荷(市場出荷メイン)
② 2022〜2023年:市場出荷から直売出荷へスタイルチェンジ(価格決定権とコストカット)
③ 2023〜2025年:マーケットインと相場感(作りたい物ではなく、売れる物を作る)
④ 2026年〜現在:信頼の積み重ね

今日はこの中から①と②の時代について、泥臭いリアルを包み隠さずお話しします。
これから農家になる方は一つの参考に、そうでない方も「自分の知らない世界」という一つの読み物としてお楽しみください😁


【① 2015(直人は2017から)〜2022年:とにかく作って出荷していた時代】
姉ちゃんが本格的に農業を始めてから7年、僕が本格的に農業を始めてからの約5年間。この時期の僕の頭の中は、非常にシンプルでした。

「とにかくたくさん栽培して、とにかく出荷する」
これだけです。

今でこそシャインマスカットとイチゴに絞っている寺本果樹園ですが、当時は本当に手当たり次第、様々な農作物に手を出していました。

シャインマスカットや大玉トマトを筆頭に、サニーレタス、モロッコインゲン、スナップエンドウ、ツルムラサキ、スイートコーン、ナス、白ネギ、キャベツ、ブロッコリー、広島菜、ほうれん草、アスパラガス……。
(中にはうまく育たず、収穫まで漕ぎ着けられなかったものも多々あります笑)

当時の販売先の割合は、「9(市場出荷):1(産直市での販売)」。
基本的にはできたものを全てJAや市場に出荷し、買い取ってもらうという「昔ながらの農家スタイル」でした。

しかし、このガムシャラな日々の中で、僕は徐々に「2つの壁」に直面することになります。


【壁①:単価問題と気候変動の猛威】
毎日朝早くから日が暮れるまで泥だらけになって働き、時間をかけてしっかり収量を確保しても、市場での「販売単価」が十分でなく、生活できる収入になりませんでした。

さらこの頃から「記録的な猛暑」など厳しい気候が続き、栽培の難易度が異常なほど跳ね上がりました。これに対応するためには、新しい資材や高価な肥料など「追加のコスト」が必須になります。

必死にコストをかけて収量を維持しても、市場の販売単価は上がらないまま。「栽培難易度が上がり、コストは増えるのに、利益は全く増えない(むしろ減る)」という、底なし沼のような状況に陥っていました。


【壁②:農家手取りと末端価格の「謎の矛盾」】
消費者の皆さんからの「お野菜高いわねぇ」という声をよく聞きます。僕も思います。それなのに、作っている僕たち農家の手取りはスズメの涙。

もちろん、全国に安定して農産物を届けるためには、運送屋さんや市場、バイヤーさんなど、多くの人の助けと流通コストが「当然かかるべき絶対に必要なもの」であることは理解しています。

でも、地元の「産直市」の売り場を見た時、僕はハッとしました。

産直市では、お客さんはスーパーと同程度か少し安い価格で新鮮な野菜を買え、間に多くの流通を挟まないため農家の手取りは市場出荷よりも多いのです。

「お客さんも安くて新鮮なものが手に入り、農家もしっかり儲かる」。この『お互いがより幸せになれる世界』が、そこには確かに存在していました。

本当のことを言うと、農業を始めた1年目からこの事実を目の当たりにしていました。でも農業の『常識』が直売の道に行くのを躊躇わせていたのも事実。

でもこのままでは、どうせ経営がうまくいかず死んでいくしかない。
ついに大きく舵を切る時がきた。


【② 2022〜2023年:市場出荷から「直売」へスタイルチェンジ】
農業の売上は、非常にシンプルな計算式で決まります。

『売上 = 収量 × 販売単価』

気候変動でコストが上がり、収量を劇的に増やすことが難しくなった現代。ですが、基本的に市場出荷では「販売単価」を農家側で決めることができません。

「販売単価を変えられないなら、必然的に収量を増やすしかない」と思ってやってきましたが、それももう限界でした。

『なんとかして、販売単価を自分たちで変えられる(決められる)方法はないか?』

この絶望的な状況を打破する唯一の解決策が『直売』だと考えました。

産直市、オンラインの産直EC、そして畑での直接販売。これなら、「自分たちで価格を決める(価格決定権を持つ)」ことができます。

仮に天候不良で収量が少なかったとしても、適正な価格設定ができていれば、なんとか経営を持ち堪えさせることができます。

マージンなどのコストカットにより、お客さんは買いやすく、農家の手取りは増える。

そして何より、畑から直送するので圧倒的に新鮮でおいしい。

「例えスーパーと同じ価格だったとしても美味しさは別格なんだから、やらない手はない」

そう考えた僕は、2022年、ずっと続けてきたスタイルを捨て、直売メインへと経営の根幹を大きく変える決断を下しました。

しかし、直売の世界も決して「甘い楽園」ではありませんでした。
直売に切り替えた途端、新たな課題が牙を剥いたのです。


【壁①:「作れば売れる」わけではなくなった】
市場出荷の最大のメリットは「全量買取」です。とにかく作ればなんでも売れる状態だったんです。

それが直接販売になった瞬間、『売れ残れば傷む・腐る → ただのゴミになる』という当たり前ながらとても大きな壁に直面しました。

売れ残ったら一円にもならない。
栽培だけしかしてこなかった僕には、大きすぎる壁でした。


【壁②:大量の在庫を自力で捌ききれない】
少量であれば直売でも問題ありません。しかし当時の僕は、市場出荷のノリで大量に作っていました。

大玉トマトのピーク時は1日で800kg。この量を自力の直接販売だけで1日で捌き切るなんて、現実的に不可能です。

また、産直市という限られた売り場では、他の農家さんと収穫シーズンが被ると、同じような野菜が棚に山ほど並び、競争に負ければ大量に売れ残ってしまいます。

「良いものを作れば勝手に売れるわけじゃない。」
「じゃあ、しっかり売るためには一体どうしたらいいんだ?」

畑に残っている大量の農産物と売れ残りの恐怖を前に、僕は「販売」について、死に物狂いで考えるようになりました。

色々考え、調べ、実践し、失敗を繰り返して……。

そしてようやく辿り着いたのが、次のステップである、
『③ マーケットイン(自分が作りたい物ではなく、お客さんが求めている・売れる物を作る)と、相場感(〇〇は何円、⬜︎⬜︎は何円という価値の把握)』
という考え方でした。

ただの職人から、商売を考える商人へのシフト。
この③と④「信頼の積み重ね」については、また次回の記事でじっくりお話しさせてください!


というわけで、「寺本果樹園の経営戦略の変遷。〜①とにかく出荷→②直売スタイルチェンジ〜」というお話でした!
季節の変わり目で体調崩しやすい時期ですので、ご自愛ください。

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イチゴのオンライン販売は終了しましたが、邑南町内では引き続きお買い求めいただけます!

・『寺本果樹園の畑(直売)』
・『Aコープいわみ店 産直コーナー』
・『アベル 産直コーナー』
・『道の駅おおなんの里』
・『溝辺組直売所』
・『邑智病院売店』

お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りくださいね🍓

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最後まで読んでいただきありがとうございました👩‍🌾🧑‍🌾

この投稿をした生産者

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