私が農家を志したきっかけは、長男のひどいアトピーでした。
食物アレルギーがあった長男ですが、ある日有機栽培をしている鶏卵農家の卵を食べさせた所、いつもは出るアレルギーの症状がこの時は出なかったのです。
その時「食べ物がダメなわけではなく、作り方に問題がある」と確信し、自らの手で安心安全な野菜を作り子供に食べさせる事を決心しました。
無農薬、無化学肥料で育てた野菜でアトピーはたちまち改善し、そして何より野菜の驚くような美味しさに感動しました。
今、身の回りには安全評価も十分されないまま、農薬や化学肥料、遺伝子組み換え等、私の子のように犠牲になっている子供が沢山います。
そんな子供達をはじめ、皆さまに安心できる野菜を届けたいという思いから横田農場はスタートしました。
私たち有機農家は、人の体にも環境にも負荷をかけない農法を取り入れることにより、持続可能な農業を行いたいと思っています。
しかし、このまま有機農業が幅広く普及していったときに、米ぬかやおからなどの有機資源は足りるのでしょうか。
私たちはある日ふと、そんな疑問を抱きました。
よく考えてみると、化学肥料や農薬の原料は、ほとんどすべてを輸入に頼っているのが日本の農業の現状です。
そしてこれまでの有機農業は、その農薬や化学肥料を使っている慣行農業の余り物を土作りに使っています。
つまりこの状況は、海外の資源が慣行農業を支え、慣行農業の資源が有機農業を支えている、とも言えるのではないでしょうか。
しかも、化学肥料や農薬だけではなく、農業の要である「種」もほとんど海外からの輸入に頼っています。
本来、「持続可能性」の名の下に行われてきた有機農業は、その土台がおかしなことになり始めているのではないか。
地域の循環を捉え、ある枠組みの中での資源や経済の収支がマイナスにならないように、自分たちでコントロール出来ることこそ、持続可能な農業の理想だったはず。
しかし自分たちの力の及ばない海外の影響を直に受ける有機農業がそこにありました。