【食べチョク 生産現場から #いちご】いちご農家の想い――気候変動と高騰するコストの中で続ける栽培

2026/03/13 更新

年々厳しさを増す夏の猛暑。昨年(2024年)も全国的に高温が続き、今まさに旬を迎えているいちご農家にとっても大きな試練となりました。そこで、徳島県で「さちのか」をメインに栽培する「木下いちご農園」の木下さんに、暑さや気候変動がいちごに与える影響、そして今後に向けての想いを伺いました。(取材時期:2025年1月)
 


▲お話を伺った「木下いちご農園」木下さん(商品ページはこちら)

木下さんがメインで育てている“さちのか”とは

20~30年ほど前に誕生した品種で、徳島では珍しく今も主力として残っています。

最近はいろいろな新品種が出ていますが、私たちの地区ではさちのかが多く作られている傾向となっています。味が安定しておりおいしいと、市場での評価も高く、栽培が難しいという理由で作り手が減りましたが、地元市場からのニーズもあって続けています。
昔ながらの品種というイメージかもしれませんが、今でも地元の方々を中心に、味を重視する消費者から求められています。


▲木下いちご農園さんが栽培する「さちのか」

 

昨年の記録的な猛暑の影響

「花芽の遅れ」で花が咲かず収穫の遅れや収量の減少に。暑さで苗が枯れることなども…

花芽がなかなか形成されず、植え付けをしても3分の1くらいが、花が咲かない状況となってしまいました。普段通りの管理では対応しきれず、結果として、年末になってようやく花が咲き始めるケースもあり、収穫時期が大幅に遅れたり、花の数が減り収量が落ちてしまったりということが起こりました。

また、苗が全滅してしまったという話も近所の2軒ほどで聞いています。
6~7月にかけて育苗を始めるんですが、ポットの中の温度が40度を超えることもあり、いちごの根が根腐れを起こして傷んで枯れてしまう。そうなるともう植え付けができず、収穫どころではなくなってしまうんです。

猛暑で開花が遅れた果実

サイズが大きくなりすぎたり、扇形や奇形が増え、価格がつかないのが悩ましいです。

収穫の時期になると、花が咲くのが遅れたりする中で、サイズが大きくなったり、扇形(おうぎがた)と呼ばれる形になるものが増えています。出荷面では規格外になりがちで、パック詰めの際に傷めてしまいやすいのが困りものです。

いちごは先端部分が甘く、扇形のように先端部分が広くて数が多いとその分甘いのですが、大きすぎるいちごは「味がボケている」と感じる方もおり、消費者によっては敬遠されることも。一概に「大きくて扇形でもOK」とは言えないんですよね。

元々規格外のいちごでも売れる場所を持っている農家さんは、こういったことが起こってもなんとかなるとは思うのですが、そうではない方はやはり売り方も難しくなるだろうなと思います。


▲扇形に育ったいちご

規格外になったいちごの販売方法

おまかせセットなどでまとめて販売しています。

たとえば食べチョクさんでは、形を問わずに詰めた「おまかせパック」を出しています。品質(味や鮮度)は問題ないけれど、見た目が扇形だったり、大きすぎたりするいちごを入れているんです。農家としては「どんな形が届くんだろう」と、楽しんでもらえれば嬉しいんですが、消費者の方に伝えるのはなかなか難しいですね。


▲手のひら大、一粒100gを超える実も

生産者から見た価格高騰の実感

ここ数年でいちご全体の価格が上がりつつあります。生産者が減ったことや物価高、さらにはいちごのブランド化が進んでいることも要因か。

ガソリンや資材費が上がるなど、どの産業でもコスト増が続いています。
いちごも例外ではなく、市場でも12月などは1パック1,000円を超えることもあったかと思います。
一方で、消費者が「そこまで出してまで買おうと思うか」という問題もありますから、本当に適正価格なのかは悩ましいところ。

ただ、生産者側も高騰するコストに対応しないと経営が立ちいかないという部分もありますし、日本のいちごは美味しいものだという認知もできつつあると思うので、食べてもらって、その価格に納得してもらえる、そんな信頼できるようないちごを作ってお届けしていくのが一番かなと考えています。

お客様へのメッセージ

ぜひ子どもたちにもいちごを食べさせてあげてほしい。食べる習慣は子どもの頃から大切です。

フルーツ全般に言えることですが、子どもの頃に食べた経験がないものは、大人になってからなかなか手を伸ばしにくいんです。
経済的に厳しい面もあるとは思いますが、食べる楽しみを知ると将来にわたってフルーツを好きになってくれる。ぜひぜひいちごもたくさん食べさせてあげてください。


▲木下いちご農園さんのおまかせパック

まとめ:夏の猛暑がもたらす、いちご栽培への深刻な影響と課題

長引く酷暑や気温の乱高下は、いちごの育苗から開花・結実に至るまで多大な影響を及ぼしています。
苗が枯れる、花が咲かない、扇形の奇形果が増えるなど、現場ではさまざまなトラブルが相次ぐ一方、物価高など外的要因も重なり、栽培コストは上昇するばかりです。

そんななか木下さんをはじめとするいちご農家のみなさんは、工夫を重ねて食べチョクでいちごの販売を続けてくださっています。
さまざまな可能性を秘めたいちご。その豊かなバリエーションを、ぜひ食べチョクで楽しんでみてはいかがでしょうか。

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