自然に逆らわない適地適作主義
甲府盆地は山から流れてくる恵みを蓄積し、肥沃な土壌を形成しています。さらに寒暖の差もあり、斜面に位置するからこそ陽の光はまんべんなく桃の木に降り注ぎます。まさに果樹栽培の適地なのです。
気候や風土に合った作物を育てる栽培場所選びは重要な事です。
草生栽培
畑に生えた雑草を刈り取って、土に還して分解させることで有機肥料になります。また土が草に覆われることによって、土の温度を抑える効果もあります。
甲府盆地の夏は蒸し暑く、桃の枝も幹も熱がこもりがち。
けれど草が生えてくることで土の温度上昇を抑える事が桃の樹の為にも結果的に良いのです。
また傾斜地に広がる畑ゆえ、雨などで土を流れることを防ぐことができます。
草を生やす事で、雑草が畑の土を守ってくれます。何度も草刈りをするから手間はかかります。
もちろん草が生えすぎていると、桃にも悪影響を及ぼします。要はそのバランスが大切。
草生栽培は良い農法だと解っている農家さんは多いのですが、手間が掛かり過ぎてなかなか難しい農法です。
作物にとって心地よい環境が一番大切。
自然の力を味方につけて、桃本来のおいしさを最大限に引き出した「こだわり農法」で桃を育てています。
土壌微生物の環境を整えた土づくり
「ボカシ」と呼ばれる米ぬかをベースに、菜種かすなど、有機物から作った肥料があります。
効果を穏やかにぼかしながら効く肥料はカルシウム補給やPh調整にも化学肥料でなく牡蠣ガラを使用。
牡蠣ガラは分解するまでに何年もかかるので、ゆっくりゆっくり、じわじわと効いていく。
化学肥料の窒素成分を入れると、葉の色は濃くり、桃の樹はグングン伸びるのでとても元気。
しかし雨が降ると、肥料が直接効きだすので、ただ実が大きくなるだけで水分か多いだけの味の薄い桃になってしまいます。
春先、気温が上がってくると土壌微生物が動き出して肥料を分解して樹にじわじわと効いてきます。
このように美味しさを徐々に蓄えた桃、積み重ねてた手間暇かけた作業が濃厚な味わいを作り上げます。
桃との会話
収穫期の見極めも、生産者の知識と経験が重要なポイント。
収穫前、樹になっている桃の表面にはチクチクとした産毛が生えてきます。この産毛が寝て、表面がつるつるになると収穫期の合図。
満遍なく色付いていることはもちろん、果実を触ったときの感覚で収穫時期を判断し、熟度を見極めています。
完熟した桃は日差しを浴びて輝き「今が収穫に時期だよ!」と桃が語り掛けてくる。桃の声が聞こえてくるようになるのです。